私はコンピュータ将棋には以前から興味を持っていて、(子供の頃から将棋を指していましたし、同時期にプログラムも覚えましたので、将棋とプログラムの両方の面白さは理解しているつもりです)、思い起こせば当ブログでも2009年4月からコンピュータ将棋のネタを書いていたようです。
で、ずーっと動向を追ってきたわけで、この電王戦も当然追ってきていました。
今回の電王戦FINALで、団体戦最後になってしまうのはとても残念ですが、棋士の絶対負けられないというプライドと、ある面では人間を超えているはずだというプログラマ側のプライドがぶつかって、大変見応えのある内容になりました。
特に ponanza と対戦した、村山慈明 七段が、事前貸し出し有りで半年間研究しても、研究しつくせずに負け、「全容解明まで2~3年はかかるのでは?」とおっしゃっていたのが印象的でした。
ponanzaは本当に隙のない、強い将棋を打つソフトのようで、村山さんが練習対局でも1~2割ほどしか勝てなかったということですから、A級プロ棋士並みの棋力を持っているのは間違いないと思います。
逆に、最新版アルゴリズムを搭載して、自動学習ありで、クラスタ化したような最新式コンピュータ将棋には、おそらくプロ棋士の方でも初見ではほぼ対応できないくらい強くなっているということなんですが。
そのため、今回は、半年前にバージョンが固定され、事前貸し出し有りだったため、角成らずを認識できないバグ負け(第2局)、ハメ手を回避できなかった投了負け(第5局)など、開発者の想定を超えた出来事が起きると全く弱いという、コンピュータ将棋ならではの弱点も露見したところが見所でした。
(今回はバグを途中で発見しても、手直しできないルール。これは開発者側が圧倒的に可哀想なんですけど、最初に交したルールといえばルール。。。そういった意味でも、ponanzaの強さが目立つわけです。)
今回の私の選ぶMVPは、Aperyに王道の将棋で綺麗に勝った鈴木大介 八段の王子的なスタンスも良かったのですが、やはり第2局のSeleneを力で圧倒しつつ、ほぼ詰めろ状態まで持って行ってからの角成らずで相手を粉砕、という永瀬拓矢 六段にあげたいと思います。(笑)
これ、本当に面白いと思いますので、ずっと続けてほしいなぁと思うのと同時に、人間棋士側の負担も大きい(強い将棋で、面白い将棋も求められる割に、かけた時間と労力が膨大すぎる)ので、まぁ、継続も難しいかなぁと。
もう少し負担の軽いタッグマッチ戦というのも考えているようですが、今時点で結論が出ず。ただ、せっかく新しい将棋ファンを増やしたという点からも、何らか続けてほしいですね