厚生労働省が検討している「薬事法施行規則改正案」が、物議を醸しています。
なんと、一般用医薬品の67%を占める1類医薬品及び2類医薬品が来年6月よりネットで売ることができなくなるかも…というのです。
それに対し、楽天やYahoo!ショッピングなどのネットショップ側が強く反発しています。
楽天の反対署名ページ
なぜネットショップで薬が買えなくなるかというと、
・対面販売ではないため。
・薬を直接手渡しできないため。
だそうです。
ちなみに、「コンビニ」や「置き薬」は今回の規制の対象にならないそうです。
消費者保護の観点から規制を強化するという名目があるかと思いますが、これがもし施行された場合、薬を扱うネットショップ、特にケンコーコムのように医薬品に特化したショッピングサイトは、大打撃を食らうことになるでしょう。
消費者の立場からも、インターネットから風邪薬や胃腸薬、その他、対面ではちょっと買うのがためらわれるようなお薬も購入できなくなります。
都会では、ドラッグチェーン店がこれでもかというくらい乱立していますが、過疎地で近くにコンビニや薬局がないところでは厳しいでしょうね。
この問題の根底として、「安全性」と「利便性」は相反するものであり、ある一定の線引きがどこかで必要になるのは致し方ないにしても、その裏に「薬局(+日本薬剤師会)」vs「ネットショップ業界」の激しい顧客獲得競争が見え隠れしていなくもない、と感じるのは気のせいでしょうか。
いずれにしても、蒟蒻ゼリーのときもそうでしたが、行き過ぎた消費者保護となりすぎないように。また、販売経路云々の問題ではなく、「消費者に薬の適切な使用法や副作用などの注意をきちんと認知させること」こそが大事なのであり、その点をどのようにシステムとして組み込むかについて議論を重ねてほしいと思います。
コメント
いつも楽しく拝見させて頂いております。
「薬局(+日本薬剤師会)」vs「ネットショップ業界」
という感じが受けるとのご感想。
私もまったくもって同感です。
NPO関連の仕事をしていると、
政治家・行政・企業・業界団体・特殊法人…
そういったものが、自分たちの既得権益のために、やりあっている姿をよく目にします。
昔、とある知事さんが、
「いい談合もあるし、悪い談合もある」
といった主旨の発言をして、失言とされましたが、
私、個人としてはこの発言は理解できなくもない気もします。
たしかに最近カルテル等が問題となっていて、コンプライアンスという観点からも法律は遵守すべきなのでしょうが、
しかし、各々が既得権益を守ることの全てが公益に反する。ということではないような気もしますし・・・。
アメリカ型の経済システムが崩壊しようとしている今こそ、こういったことが再考される機会になればいいなぁと思う次第です。
とりとめもなく長くなりまして、スイマセン。
どうもお久しぶりです。(^_^)
コメントありがとうございます。
全ての組織は自分に有利、競合に不利になるように外部に働きかけをしますからね。(「経営戦略」とか「SWOT分析」も、言葉はいいですが、詰まるところ「相手の弱みにつけこんで、自分の強みを活かして利益を得るにはどうしたらいいか」のフレームワークですし。)
とはいえ、今回の薬事法の改正案は、本来その恩恵を享受する側の消費者の意見がほとんど反映されていないところに問題がありますね。
来年6月以降、「えっ、そんなの知らなかったよ!」という消費者が続出しそうです。
問題の本質は、記事に書いているとおり、「消費者に薬の適切な使用法や副作用などの注意をきちんと認知させること」をシステムとして回していくことですので、そこをきっちり議論して頂きたいと思います。
談合については、コメントを控えさせてください。まだ自分の中に明確な答えがないので…。
自分の理解としては、
・談合をすれば、経営は安定するものの利権が集中し不正を招きやすくなる。
・談合がなくなったらなくなったで、しわ寄せが収集つかないくらい下請けに回ってくる。
例)
・談合ありにすると、予想価格付近の値段で綺麗に落札。
・談合なしにすると、1円でもいいからとりあえず落札。
話し合いで仲良くパイを食べる日本型システムがいいのか、透明すぎて弱肉強食の相手を潰すか潰されるかまで戦う欧米型システムがいいのか、ちょっと答えが出ていません。