私的使用のための著作物の複製を認めた著作権法第30条について、抜本的な見直しも見据えた検討が文化庁の文化審議会でヒアリングが行われており、その様子が↓の記事に掲載されています。
コンビニコピー違法化、私的クラウド補償金も!? “私的複製”見直しへ審議
なぜ私的複製が問題になるかというと、本来は自分が使う目的で、自分が持つ機材で複製する分には何も問題ありませんでした。しかし、公共に場に設置してある複製機で複製を行うのは、基本NGとなっていました。
例外としてコンビニのコピー機などによる私的複製は認められていましたが、今回は今後それをどうするかも議論になっています。
当然、今流行りの自炊代行サービスも、この議論に大きく関わってきます。
個人的には、もし仮に集中的権利処理団体が管理できたとしても、「私的利用を目的とした出版物の複製を、営利を目的とした複製業者が代行する行為」に補償金をつけることは、権利団体の利益が増えるだけで、権利者の利益を損ねているとは思えません。
また、JEITA(電子情報技術産業協会)が指摘したようなデジタルロッカー(例えばクラウド上に音楽や映像のデータを置いておき、利用者は著作物を購入した権利を持っておき、必要に応じて様々な端末上で視聴する仕組み)などの考え方も、日本だけ補償金制度がついたら、この分野のビジネスを減速させることになるかもしれません。
電子書籍が本格普及する直前の自炊代行サービスのような新しいビジネス、また今後普及していくであろうクラウド型のコンテンツ配信に関連するところなので、興味深く見守っています。
ところで。
私が時々感じる違和感として、「著作権者の権利を守ろうという議論」と「補償金をつけようという議論」がごっちゃになって議論されていることです。
あくまで補償金制度は著作権者が不利益を被ることがないようする1手段であり、新しい技術に応じた課金方法や、ユーザーの利便性を損ねない方法など、幅広く議論してほしいと思います。